仮定法の基本的な使い方は、ifを使った仮説に該当する文と、願望などを表した文で構成され、「If + S + 過去形, S + 助動詞 ~.」の構文になります。今回は、応用編としてI wishを使用した仮定法について、まとめておきたいと思います。
I wishを使う仮定法過去
「~を願う」という意味のあるwishは、実現する可能性が低いけど願望として抱いている「~なら良いのに」という夢のような希望を表現するときに使われるため、仮定法としても表現されます。
I wishによる仮定法の構文: 「I wish + 仮定法」
仮定法の部分を展開すると「I wish + S + 助動詞 + V」になります。
I wish I could speak English.
「英語を話せたらいいのになぁ」
助動詞のcouldは必要であるのか
多くの例文では、以下のように助動詞が省略され、動詞が過去形になっている場合があります。
I wish I spoke English.
仮定法の構文では結果に相当する文では、「S + 助動詞 + V」と習った気がしたのですが,”I wish”による仮定法を説明するサイトでは、いずれも助動詞が省略され、そこの違いに関する解説は見たことがありません。
個人的な解釈になりますが、wishの元々に意味は「~を願う」で、仮定法で使われるということは現実世界では、「~を願ったけど出来ていない」ということになります。
この文脈から、”could”以外には当てはまらないことになり、couldを省略しても問題ないという事かと思います。ただ単純に助動詞couldを省略してしまうと仮定法であることが分からなくなるので過去形にしています。
I wish の仮定法の構文: 「I wish + S + 過去形」
wishの仮定法過去完了
wishの仮定法過去の構文で、結果の文を過去形にしていました。では、本当の過去形:「~だったら、良かったのに」という場合、”wish + 仮定法過去完了”の形式で表現します。
仮定法過去完了の部分を展開すると「S + 助動詞 + have + 過去分詞 …」になります。こちらも、仮定法過去と同じように助動詞を省略し、助動詞直後の動詞を過去形に変更する手法が使えますので、以下のような構文になります。
「S + had + 過去分詞 …」
I wishを過去形に
多くの例文が“I wish”のようにwishを現在形で使用しています。では、wishを過去形にして表現することは無いのでしょうか。たとえば、「昨年のパーティに参加したかった(現在は、別に行きたかったとは思っていない)」という過去に行きたかった気持ちがあった場合は、以下のようになる。
I wished I were the party last year.
「私は昨年、そのパーティに行きたいと思っていました。(今は思っていない)」
I wished I had been the party last year.
「私は昨年、そのパーティに行きたかったと思っていました。(今は思っていない)」
I wish I had been the party last year.
「私は昨年、そのパーティに行きたかったです。」
I wish + 現在形の表現
wishを使った構文は、「I wish + S + 過去形」と書きましたが、ネットでは過去形ではなく現在形が使われている表現もあります。
I wish I can help you.
I wishの場合は、必ずしも仮定法としての使われ方をする訳ではないです。
このケースは恐らく、仮定法ではなくthat節(that自体は省略されている)で使用されている表現かと思います。以下の”I wish” に続く文を比較してみてください。
I wish that I can help you.
「あなたを助ける事が出来るので、あなたを助けたいです」
I wish I could help you.
「(実際には助けられないけど)助けられたらなあ」
wishとhopeによる違い
wishと同様に「望む・願う」という意味のhopeですが、wishとは若干、ニュアンスが異なり仮定法としてhopeが使われることはありません。
Hope:「可能性がある願望」
Wish:「可能性が低い/不可能な願望」
元々、仮定法は可能性の低いものを仮説として仮定して表現しているので、実現の可能性が高いhopeは仮定法としては使われないようです。
I hope I am rich.
「お金持ちになりたいです。」
起業しようと考えている大学生の希望を聞いたときの一言という感じでしょうか。
I wished I were rich.
「もしお金持ちだったらな」
起業したけど、借金まみれで、倒産してしまった起業家の一言という感じで如何でしょうか。